創業者、萩野茂が昭和16年板橋区志村前野町に富士特殊金属研究所を設立して研究開発した結晶微細化強力合金(YGブロンズ)の生産を開始し、自動車、航空機、魚雷、その他重要機械部品用特殊材料として採用され、本合金の性能が認められると共に急激にこれに対する需要が増加しました。
よってこれに対応する為に昭和18年4月本研究所を大和合金株式会社に改組し、この特殊強力合金の本格的生産に当り、各種生産機械部品及び陸海軍の重要兵器材料を供給して著しい実績をあげました。
昭和20年終戦による情勢急変のため、一応会社を解散しましたが、戦後の状況が安定するに伴って工業界の材質的要望が増加しましたので、これに応えるため昭和28年4月再び同一名称を以って会社を再興しました。
戦後は更に新しい技術を採り入れ、永い経験を基盤とし、生産と研究を併行して自動車用強化材料、電車架線金具材料を始め、各種機械の重要作動部分や消耗部品等特殊材料の製作に従事して極めて堅実な営業を続けて参りました。
その間、特殊アルミニウム青銅各種を始め、これを基礎とするYG合金、SY合金、YMB合金等の微細化合金やクローム銅、ベリリウム銅等の析出硬化合金の開発並びに生産を行い、特殊銅合金工場としては特異の存在として広く業界の信頼を受けて参りました。
尚、萩野茂はかつて三菱製鋼に在職し微細化合金の元祖であるアームスブロンズの研究及試作を担当して、この工業的生産を完成させたもので、以後60年にわたりこの種の合金の製作にたずさわって最も長い実地経験を有し、特殊合金については深い造詣を持ち、広く業界の信頼を受けているものであります。